南Q太「夢の温度」~妹から兄への不思議な感情と妬ましさ
⇒こんな少女の頃のキモチ、誰にでもあったハズ。「夢の温度」漫画立ち読みへ(eBookJapan)
【南Q太さんの作品の中で珍しく(?)ピュア一色の切ないお話】
南Q太さんといえば、性的に奔放な女性、気性の激しい女性、
退廃的な生活の女性が出てくる漫画が多い。
でも、この「夢の温度」はとっても美しい間合いで、ゆっくり時間が進むような
ほろ苦い透明感にあふれる物語。学生時代に愛読してました。
絵柄は”素朴でミニマル”。下絵をそのまま漫画にしたような感じ。
背景もあまり描き込まれてない。
それでもサマになっていて、そのユルさがまた何ともいえないんですね。
まるで詩のような漫画です。
全4巻完結。各巻に季節の名前がつけられているんですが、
読む順序はややこしいですが、「ふゆ⇒なつ(夏祭り)⇒はる⇒あき」となっています。
◆あらすじ◆
中学2年生の田舎育ちの女の子「はる」が主人公。
「はる」には「あき」という高校生のお兄ちゃんがいます。
お兄ちゃんはイケメンでカッコよくて、勉強や運動など、なんでもよく出来る子。
(※「はる」はいろいろ人並み)
でも、フツウに妹には意地悪です。ふざけつつも仲のいい兄妹関係です。
お兄ちゃん、一見チャラぶってますが根っこはマジメ。田舎の純朴少年です。
「はる」は、自分がまだ”女”でありたくない気持ちがどこかにあるんだけど、
男であるお兄ちゃんに”男性性”を垣間見ることもあるんです。
でもそれは恋愛感情ともちょっと違うような・・・?
自分でも持て余す思春期の独特の感情に戸惑っているうちに、
同級生の男の子に告白されてしまう。お兄ちゃんとはまったく似てない男子。
どうしてもお兄ちゃんとその同級生を比べてしまうんですが、
結局、初々しくお付き合いをスタートさせるんです。
いっぽう、お兄ちゃんにはいつの間にか彼女ができているんですが、
なんとお相手は、付き合ってはならない学校の先生・・・。
と、私がこう書くと陳腐だけど、漫画の間合いが素晴らしいので是非立ち読みを(笑)!
【お兄ちゃんになりたかった妹。性別への嫌悪や異性への羨み】
この南Q太さんの「夢の温度」って、近親恋愛だとか、
ブラコンすぎる妹だとか、そういう極端な内容ではないんですね。
主人公の「はる」は、どこかで道を踏み外すわけでもない。
ごくごくまっとうに成長していくんですが、その合間合間の微妙な感情が
すごく思春期らしくて、誰が読んでも「ああ、そうそう!この感じあったなぁ」と
懐かしく思い出すことができるんです。
私が一番印象に残ってるセリフは、
「ああ、あたし、お兄ちゃんになりたかったんだ」というもの。
男子から告白され、自分の女性性を意識するとき、
「はる」は、”自分が女であること”にほんの少し嫌悪感をおぼえたりする。
⇒”お兄ちゃんになりたかった”妹。「夢の温度」無料立ち読みへ
また、生理痛が重かったり、足を開いて座れなかったりする女の自分に引き替え、
男のお兄ちゃんは、自由気ままに好きなように生きてる気がする。
お兄ちゃんへの憧れは、自分の性別への嫌悪から来てたのかもしれません。
もしくは、なんでも持ってるお兄ちゃんへのコンプレックスから来ているのか・・・。
また、「深夜に異性の家族と鉢合わせになると、なんだか緊張する」
というシーンも出てきます。これ、すごく分かる(笑)。
気安い家族のはずのお兄ちゃんなんだけど、深夜にキッチンで鉢合わせになって
どこか気まずい思いをする主人公。分かりすぎるほど分かります。
そういう繊細な兄妹の感情の機微を、ラフな絵柄で見事に描き出している作品。
⇒ココロが洗われるよう・・・。漫画「夢の温度」立ち読みはeBookJapanで(無料)
スポンサードリンク
当サイト人気記事!
アメーーク!!でマンガ芸人達がおススメしていた作品まとめ
【閲覧注意作品】
衝撃の女郎の物語・・・最後まで苦しい「親なるもの断崖」
スマホやPCでマンガを読むなら?
⇒ 当サイトで人気の電子書籍4サイトを料金や口コミで徹底比較!必ず気に入るサイトがある☆