川原正敏が影響を受けた2人の人物がわかる!?「修羅の門」
出典:ebookjapan.jp
「修羅の門」には梶原一騎と夢枕獏の影響が隠しきれていない!?
今回紹介する、川原正敏先生の「修羅の門」は格闘マンガである。
川原正敏作品について個人的に思うのは、梶原一騎作品への愛だ。
場合によっては梶原一騎イズムの継承者と言ってもいいかもしれない。
様々なシーンでその影響は見て取れる。
分かりやすい一例を挙げると、「修羅の門」の主人公・九十九が羽山悟戦で見せた背負い投げからの頭部への蹴り「雷」だ。
これはどう見ても梶原一騎先生の「空手バカ一代」で芦原英幸が見せた、相手を逆さにして頭部を蹴り上げる技の発展系だ。
そしてもう1人、川原正敏作品に大きな影響を与えたのは夢枕獏先生だ。
格闘技に明るい人が本作を読むと、関節技の事を“蔓”と称しているのを見て夢枕先生の「餓狼伝」からだな、と推測がつくだろう。
技やキャラクター設定にもかなり夢枕先生の作品の影響を受けていることがうかがえる。
これは、川原先生が悪いと言っているのではなく、格闘技物において夢枕先生がスタンダードといえる形を作り上げてしまった功罪なのかもしれない。
「修羅の門」他作品との違い その1〈殺人の許容〉
「修羅の門」が他の格闘技物と異なっているのは、殺人の許容だろう。
勿論、一般的に殺人は褒められる物ではないし、主人公・九十九も積極的に殺人を行っている訳ではない。
だが、九十九は自分の流儀が殺人の技である以上、結果として殺人が発生してしまうのは仕方がないと考えている。
本気の試合は“死合い”。
勝負に勝つ為には相手が死ぬかもしれない技を振るう。
「空手バカ一代」は命を賭けた果し合いを描いているが、主人公が実在の人物を描いている以上、殺人を許容する事は無理だ。
「餓狼伝」の主人公、丹波文七も同様で、対戦相手がこぼした『あんたが怖かった』という言葉を聞いて満足してしまっている。
梶原・夢枕作品の中で、主人公にとって重要なのは己の存在を世に問う事であって、究極、勝敗は関係ないのだ。
九十九以外は皆、戦ってコミュニケーションをとる事が目的であり、実は勝つ事はどうでもいいのだ。
それに対し、九十九の戦う理由は自らの流派の最強を証明する事なので、勝つ為には殺人も仕方ない、という事になる。
その点が、川原先生がこの作品に込めた、こだわりなのではないかと思う。
「修羅の門」他作品との違い その2〈ヒロインの存在〉
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夢枕作品にヒロインは存在しないが、梶原作品には存在する。
「あしたのジョー」の、のりちゃんや葉子だ。
のりちゃんは丈についていけないが、葉子は丈についていく事が出来る。
しかし、それ以上の関係にはなれないまま終わる。
「修羅の門」にも舞子というヒロインが存在する。
彼女は性格は違うものの、一見するとただの葉子のデッドコピーに過ぎないと思われた。
内面描写も少なく、完全なる舞台装置としての機能しかないので、作者としてはさして重きを置いていないのかと感じた。
ところが作者はここで差別化を図りにきたのだ。
そう、舞子の母のセリフ「あんた修羅の花嫁になれるわ」である。
おそらく、梶原や夢枕作品の主人公が孤独であるのに悲観して、せめて彼らの遺伝子を継いだ九十九は幸せにしてやろうと生み出されたのが、舞子なのだろうと思った。
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