大人でも遅すぎない!戦争孤児の児童文学「コーカサスの金色の雲」
目次
大人でも遅すぎない!児童文学「コーカサスの金色の雲」戦争孤児たちの実態
「コーカサスの金色の雲」。
作者の名前はアナトーリイ・イグナーチエヴィチ・プリスターフキン。
あまり有名ではありません。
自身の体験を元に書いた「コーカサスの金色の雲」が唯一の著作です。
「コーカサスの金色の雲」は第二次大戦が終わって間もない頃のロシアが舞台になっています。
戦争孤児の双子の兄弟コーリカとサーシカが主人公です。
戦争孤児ですが、親のことは何も書いてありません。
家族というものをまったく知らずに育ったこの双子には家族は自分たちしか存在せず、二人で一人だと胸を張って言います。
二人は盗みをします。
街頭でも、新しく孤児院ができたコーカサスへ移送される途中の駅でも食べ物を盗みます。
それは、この二人が悪い人間だからではなく、凍ったジャガイモの皮があればあと一日生きられる、という状況だからです。
飢餓がそうさせるのです。
その状況を作るのはもちろん大人です。
この辺は原爆で孤児になった少年たちを描いた漫画「はだしのゲン」に通じるところがあります。
大人に利用されたり、だまされたり、という場面も似たところがあります。
児童文学「コーカサスの金色の雲」痛烈な言葉!大人が考えなければいけないことが満載
「子供は天使だ」という言葉もあれば、「子供は自分勝手でいうことをきかない悪魔だから教育によって人間にしなければならない」とか、いろんな考え方があります。
ただ、戦争は子供を動物にします。
それはもちろん、子供の責任ではありません。
「コーカサスの金色の雲」はそのことを一番強調しています。
学芸会の最中に爆弾が爆発する社会を、今の子供は思い描けるでしょうか。
「モスクワの暖かい部屋の中であの恐怖を完全に描くことはできないと」と作者自身が言っています。
戦争の後で、今度は民族紛争が起こっていると聞いて、子供の口からこんなセリフが出てきます。
「なんでだよ。大人ってもっと利口なはずだろ」
その通り。
誰だって思うはずです。
大人はもっと利口なはずだと。
児童文学「コーカサスの金色の雲」読まずに終わるよりずっとまし!大人でも遅すぎることはない
私は「コーカサスの金色の雲」を大人になってから、というかオバサンになってから読みました。
児童文学ですが、読み応えたっぷりです。
子供を動物にする大人は大人失格だし、そういう国家は国家失格だと、「コーカサスの金色の雲」を読んで思いました。
一人でも多くの大人が同じことを思えば、世界はもっと平和になるはず。
前述の「はだしのゲン」、アゴタ・クリストフの「悪童日記」や映画化もされた「少年H」、「お菓子放浪記」にも戦争に翻弄される子供のことが書かれていますが「コーカサスの金色の雲」が一番、私にいろいろ考えさえてくれました。
でも、涙目になるので、公共の場や電車では読まない方がいいかも。
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