ネタバレ有!沙村広明の残酷で美しい悲劇「ブラッドハーレーの馬車」
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沙村広明先生の描く、鬱だけど癖になる世界「ブラッドハーレーの馬車」
豪華俳優陣で実写映画化された、「無限の住人」。
その作者である沙村広明先生は、その他にもいくつかの短編漫画作品を世に出されています。
その中から今回私が紹介するのは、「ブラッドハーレーの馬車」(全一巻)です。
ドレスを纏った美しい少女が物憂げな表情を浮かべる表紙。
なんとも言えない不穏な気配を感じさせます。
そのイメージ通り、非常に鬱な内容です。
救われない少女たちの悲劇を、これでもかというほど味合わされます。
「ブラッドハーレーの馬車」それは少女たちの幸せの象徴のはずだった
身寄りのない少女たちが暮らす施設に、ある日迎えがやってきます。
その迎えの馬車に乗ることができれば、国の貴族であるブラッドハーレー家の養女となり、憧れの「ブラッドハーレー聖公女歌劇団」の一員となって、華やかな世界で生きていくことができる。
不幸な少女たちにとってブラッドハーレーの馬車は、まさに夢と憧れの象徴でした。
しかし、期待に胸を膨らませ、馬車に乗り込んだ少女には、あまりにも残酷な運命が待ち構えているのです。
【ネタバレ注意】裏切られた少女たちの末路
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馬車の辿り着く先は、高い塀に囲まれた冷たい収容場所。
それは刑務所でした。
かつて起きた、大規模な集団脱獄・暴動事件。
それを繰り返さないために、国はある計画を立て、実施しました。
少女たちは、囚人たちの暴動を押さえ込むため、その暴力的衝動のはけ口となるために捧げられた生贄(いけにえ)だったのです。
馬車に乗り込む際に与えられた美しいドレスは奪われ、数多くの囚人たちが待ち受ける中へ放り込まれる少女たちに、逃げ場はありません。
死ぬまで責苦を与えられ続けられるのです。
当然、命が長く続くわけもなく、息絶えた少女たちは人知れず捨てられていきます。
そして施設に残された少女たちは、そんな地獄のような世界とはつゆ知らず、馬車に乗り込んだ仲間の幸せを信じ、羨み、いつか自分もあの馬車に乗ることを夢見て暮らしています。
身寄りがない故に、囚人たちの暴動を押さえ込む道具にされる少女たち。
そんな悪魔のような企画の発案者であるのが、ブラッドハーレー貴族院議員。
彼にも少女たちへの懺悔の思いはあったようです。
犠牲となった少女たちを悼むように、一人づつ増えていく天使の絵。
最終的に彼にも破滅が待ち受けています。
最後まで悲しいエピソードの連発ですが、それでも希望を持った少女たちは美しく、純粋に描かれています。
罪を抑えるために罪を犯すことの矛盾と葛藤を独特のタッチで描いた、異色の作品であること間違いなしです。
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