「ぼくんち」~サイバラ漫画の魅力炸裂!二太の黒目に宿る”狂気”
【西原理恵子さんの代表作「ぼくんち」はサラリとド底辺】
西原理恵子マンガ、「ぼくんち」。
この漫画は、壮絶な生い立ちと過去を持つ知人に勧められて読んだものです。
この知人が勧めてくれなかったら、私はこのマンガを読むことはなかったかもしれない。
苦労人であるその知人いわく、
「生きるのが辛かった自分には、この漫画はとてもリアル」だそう。
育った環境が、自身のそれと重なるんだそうです。
作者である西原理恵子さんも、自身の幼少期の育った環境をもとに
この「ぼくんち」を描かれたそうです。
このマンガは多くの人の心をうち、”文芸春秋漫画賞”を獲得。
ただ私には、この漫画の設定を、とても身近に感じることは出来なかった。
私は生まれ育ちにそれほどまで不自由がなく、
幼少時にものすごく苦労した覚えがないんですね(後天的な苦労は人並みに・・・?)。
私はこの知人から、おそらくひどく憎まれていました。
理由は、「恵まれた家庭に育った人間特有の甘さを持っているから」。
確かに私は、甘い人間だという自覚があります。
なので、苦労人であるその知人から、
そんなふうに言われてしまう気持ちも分からなくもない。
だけど、生まれ育ちなんて自分では選べないし、どうしようもないこと。
申し訳ないけど、その知人から向けられた憎しみに対して、
私には、何も言えることはありません・・・。(冷たい人間ですね、私)
【底辺の汚い町の中にある、ヒトの普遍的要素】
さて、世の中を斜めに見ている人にとって、
この「ぼくんち」という漫画は、ひどく心地よいもののようです。
暮らしとしては正直言ってド底辺(言い方が悪いですね、すみません)、
だけど残酷なほどに明るく素直な性格の二太が、この漫画の主人公です。
「ぼくんち」は、鬼ババのような母ちゃんと、
水商売の「かの子」姉ちゃんと、優しい「一太」兄ちゃん、
そしてボク(二太)、という家族構成です。
父ちゃんは冒頭から不在です。しかもこの兄弟3人、全員父親が違う。
3人の父親は蒸発したのか、どこかで野垂れ死んでいるのか、見当もつかない。
でも、それが当たり前の暮らしなんです。
だから、みんな明るい。
男たちは犯罪に巻き込まれて行方をくらますのが当たり前。
女は男に捨てられ、水商売にいくのが当たり前。
そんな田舎町のお話です。
不衛生で食べるものも少ないけど、
二太は淡々と自分の人生の状況を把握し、それを楽しんで生きています。
いつも笑ってる二太。
私は、この二太の笑顔に狂気を感じる。
なぜか、ものすごく怖い。人生の虚無をすべて見透かしているようなところが・・・。かつて蒸発していた、体を売る「かの子」姉ちゃんは、
いいにおいでキレイで優しい。
でも、ものすごく強い。雑草のようなしぶとさがあります。
西原理恵子さんて、こういう掃き溜めの中の無邪気さ
(こう表現してよいかどうか)を描くのが天才的に上手です。
最初読んだときは、かなりショッキングでした。絵はかなり書きなぐり系(?)、
だけど妙に味があって、続きを読まずにはいられませんでした。
自分には遠い設定の物語。なのに、この泥に埋もれたような暮らしの中に、
誰にでも共通する人の本質みたいなものを垣間見ることができる。
機会があれば、ぜひいろんな人に読んでみて欲しいです。
主人公・二太のフシアナのような黒目が、どこか恐怖です。
「じつは感情を持ってないのかも・・・?」と思いたくなる表情。
でも、たくましい。そして明るく強いんです。
小さなことに悩んでいる人にこそ読んで欲しいサイバラ漫画です。
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